【検証ログ#1】単純移動平均線(SMA)のクロス手法は、今のドル円相場で通用するのか?

2025-07-31 - USD/JPYデイトレード

1. はじめに:全ての基本、移動平均線

こんにちは、タグチです。このサイトの記念すべき検証ログ第1回は、全てのトレーダーが一度は通る道、「単純移動平均線(SMA)のゴールデンクロス/デッドクロス」を取り上げます。

多くの教科書で「買いシグナル」「売りシグナル」として紹介されるこの手法ですが、果たして現在の、特にボラティリティが高いUSD/JPYの15分足で本当に優位性はあるのでしょうか?

正直なところ、私自身は「今の相場では、これ単体では機能しないだろう」と懐疑的です。しかし、あらゆる分析の基礎となるこの手法を自らの手で検証し、その結果を数値で直視することにこそ、大きな意味があると考えています。

2. 検証の仮説とルール

今回の検証における仮説とルールは、以下の通りです。

  • 仮説: 「短期SMAが長期SMAを上抜いた(ゴールデンクロス)後の押し目で買い、下抜いた(デッドクロス)後の戻りで売れば、トータルで利益が残るはずだ」という一般的なセオリーを検証する。
  • 通貨ペア: USD/JPY
  • 時間足: 15分足
  • 使用インジケーター:
    • 短期SMA: 20期間
    • 長期SMA: 50期間
  • エントリー条件:
    • 買い: 20SMAが50SMAを上抜き(ゴールデンクロス)確定後、価格が一度20SMAまで戻ってきた(タッチした)次の足の始値で成行買い。
    • 売り: 20SMAが50SMAを下抜き(デッドクロス)確定後、価格が一度20SMAまで戻ってきた(タッチした)次の足の始値で成行売り。
  • 決済条件:
    • 利食い: +40pips
    • 損切り: -20pips (リスクリワード比 1:2)
  • 検証期間: 2025年7月21日(月)~ 2025年7月25日(金)

3. 実際のトレード記録

トレード1: 7月22日(火)- 売りエントリー

ダミーチャート画像1

  • 状況: 日本時間午前にデッドクロスが発生。欧州時間に入り、価格が20SMAにタッチしたため、ルール通り売りでエントリー。
  • 結果: -20pips(損切り)。エントリー後、再度上昇し、あっさり損切りラインに到達。

トレード2: 7月23日(水)- 買いエントリー

ダミーチャート画像2

  • 状況: NY時間にかけてゴールデンクロスが発生。その後、一旦価格が下落し20SMAにタッチしたため、ルール通り買いでエントリー。
  • 結果: +40pips(利食い)。うまく上昇トレンドの波に乗ることができ、利食い達成。

トレード3: 7月25日(金)- 売りエントリー

ダミーチャート画像3

  • 状況: 週末のポジション調整か、デッドクロスが発生。20SMAへの戻りを待って売りエントリー。
  • 結果: -20pips(損切り)。いわゆる「ダマシ」となり、再度上昇して損切り。

4. 結果と考察

  • 総トレード数: 3回
  • 勝敗: 1勝2敗
  • 合計損益: (-20pips) + (+40pips) + (-20pips) = 0pips
  • 勝率: 33.3%

考察:やはり、これだけでは優位性はない

当初の懐疑的な予想通り、結果は**トントン(損益ゼロ)**でした。リスクリワードを1:2に設定したおかげで、勝率33.3%でも損失は出ていませんが、これでは手数料分だけマイナスです。トレードを重ねれば、資金は緩やかに減っていくでしょう。

今回の検証で、以下の点が明確になりました。

  1. レンジ相場に極端に弱い: 横ばいの相場では、短期と長期のSMAが何度もクロスし、その度にダマシのシグナルを発生させました。トレード1と3は、まさにその典型的な負けパターンです。
  2. トレンド発生時の押し目・戻りとしては機能する可能性: トレード2のように、明確なトレンドが発生した際の押し目買いポイントとしては、ある程度機能する場面もありました。しかし、その「明確なトレンド」をどう定義するかが次の課題です。

次のステップ

この結果を受け、次回は**「レンジ相場をフィルタリングする」**という改善策を加えてみたいと思います。具体的には、ADXなどのトレンド系指標を組み合わせ、「ADXが一定以上の数値を示している(トレンドが発生している)場合のみ、SMAのクロス手法を適用する」というルールを追加して、再度検証を行う予定です。


【免責事項】 この記事は、あくまで私個人のトレード記録と分析を公開するものであり、投資助言や勧誘を目的としたものではありません。全ての取引の最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。